[京都]高校生が地元企業の売上増を提案・支援[会社設立]

CTPTマーケティングを通じて、創造的に企画する力、実践する行動力を養う

富山県立富山商業高等学校 企画部 部長 安田 隆(富山県富山市)

富山を代表する伝統校で始まったユニークな取組み、TOMI SHOP

今年で創立112周年を迎える「富山県立富山商業高等学校」は、富山でも伝統のある商業高校です。卒業生は約2万人を数え、内外の商業界に多くの人材を輩出。県内屈指のスポーツ強豪校としても知られ、その伝統は今も引き継がれています。実際、本校を志望する生徒の3割は「部活動」が主な理由ですが、商業専門科目に「満足している」と卒業間近の約7割の生徒が回答。多くの若者が商業の魅力を感じながら卒業してくれていると実感しています。

しかし、少子化の影響等から志願者数は低下傾向にあり、他校にはない魅力、専門性を中学校、進学先、地域社会にPRしていく必要があります。「TOMI SHOP実行委員会」はそうした社会的な変化をもとに開始した取組みです。

社会に貢献し、企業の即戦力となる人材の育成を目指して、「TOMI SHOP実行委員会」を一つの株式会社に見立て、生徒が社長や取締役に就任。活動状況は期末に財務諸表にまとめられ、収益は配分(次年度の運営費等に充当)するなど活動も本格的です。

実際に商品企画・販売実習(画像参照)に取組み、毎年11月に開催される催事販売会型イベント「TOMI SHOP」では来店者約7200名、売上約1400万円を計上、各種マスコミ、TVのドキュメント番組で特集されるほど注目を集めるようになりました。こうした成果に止まらず、さらに市場で実際に役立つ人材育成のために何が必要か。思案していた時に出会ったのがCTPTマーケティングでした。

高校生でも無理なく立案・実行できるCTPTマーケティングとの出会い

きっかけは「増販情報センター越中富山」を運営する「株式会社ヒューマン・サポート」石橋孝史氏との出会いでした。調査・分析から販売・実践まで、一貫して計画するマーケティングの概念は生徒たちにはとっつきにくいものでしたが、C(コンセプト)・T(ターゲット)・P(プロセス)・T(ツール)と共通の手順を踏むことの体系であれば、高校生でも無理なく立案・実行することができる。早速、勉強会を開き、この考え方を「TOMI SHOP」に注入していくことになります。

一方、生徒を指導する私もその体系を習得すべく、「創造的に企画する力、実践する行動力」をテーマとした企画書を作成。生徒にその力を植え付けるには、実際のビジネスの現場を体験させるのが最適と考え、企画のコンセプトを「高校生が地元企業の売上増を提案・支援」としました。ターゲットは「TOMI SHOP」協力企業46社。

その中から2社との契約を目標に、企画書を読んだ生徒たちは自らPR活動を実施。高質接触の場ではスライド・資料を準備しプレゼンテーションを行い、地元企業の快諾のもと、3社・4商品のマーケティング支援契約を獲得することができました。その後、各企業には、地域の食材を使ったスイーツやヨーグルト、売上の一部を植林に寄附するエコバッグなど、富山の高校生らしいアイデアのつまった商品の開発にご協力いただきました。

プランニング部を中心に創造的に企画する力、即戦力となる人材育成へ

実際のビジネスの場での支援は新鮮であったと同時に、「計画通りに売れない」「リハーサルした通りに商品の説明ができない」などこれまでにはない試行錯誤、厳しさ・難しさを体感する場であったようです。しかし、その反省と経験は2008年11月の「TOMI SHOP」に活かされ、過去最高の売上を記録。待つのではなく攻め、計算づくで売上を上げるにはどう企画すればよいか、販売を仕組みで考えるマーケティングの考え方が生徒たちの間にも少しずつ浸透しはじめてきたそうです。「TOMI SHOP」に代表される独自の取組みは、受験生にも魅力的なようで、本校及び流通経済化の志願者倍率は富山県内指折りの高倍率となり入学者増に貢献。一定の成果を収めています。

2008年からは、新たな取組みとして「プランニング部」がスタートしました。2009年4月の時点では、部員は4名。活発な運動部に負けないよう、ビジネスコンテスト等への挑戦を通じて、創造的に企画する力、実践する行動力を養うモデルとして確立していきます。CTPTマーケティングでは先進校である「京都すばる高校」や地元関係機関、新設の「株式会社越中富山企画塾」とも協力を図りながら、実践的なビジネスマン育成、魅力ある人材育成に努めてまいります。

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